Visa Touch

Visa Touch（ビザ タッチ）

Visa Touchは、Visaが日本市場向けに提供していた非接触決済サービスでした。このサービスは、日本信販株式会社（現在の三菱UFJニコス）が開発したSmartplus技術を基盤としており、特に日本国内で利用されることに特化していました。しかしながら、Visa Touchは日本以外の地域では利用できず、国際的なVisaの非接触決済サービスとは互換性がありませんでした。

サービスの特性と展開

Visa Touchは、多くの加盟店で利用可能でしたが、その数は他の非接触決済サービス、特にiDやQUICPayと比較すると少ないものでした。それにもかかわらず、利用者は69万人を超え、対応端末も約4万9千台に達していました。Visa Touchは、特定の提携クレジットカードに組み込まれていた他、モバイル型の決済も提供していました。ただし、スマートフォンではなくフィーチャーフォンと連動する形でのサービス展開がなされていました。

Visa Touchは、基本的にカード型とモバイル型の二つの方式で利用されていました。カード型では、特定のクレジットカードにVisa Touchの機能が搭載されており、例えば、三菱UFJニコスが提供するE-NEXCO passがこれに該当します。一方、モバイル型では、おサイフケータイに対応したアプリケーションを利用することで、最大5件のクレジットカード情報を登録できる方式が採用されていました。この場合、決済時には選択肢の中から希望のカードを選ぶことができて便利でした。

利用方法とモード

Visa Touchには、簡易利用モードとセキュリティ重視モードの二つの利用モードが用意されていました。簡易利用モードでは、加盟店の専用端末にカードをかざすだけで決済が可能でした。これに対し、セキュリティ重視モードでは、利用者がアプリを開き、設定したパスコードを入力しなければ決済ができない仕組みになっていました。これらの機能によって、利用者は自分のニーズに応じて非常に柔軟な決済方法を選択できるようになっていました。

サービス終了の経緯

Visa Touchは、競合するMasterCardが提供する一般的な非接触決済サービス「PayPass」に対抗していました。しかし、2008年当時の日本の加盟店舗の数は、Visa Touchの方が多いことが分かっていました。それでも、2012年には日本でのサービス展開が困難になり、Visaは2013年からVisa payWaveの導入を決定しましたが、これもVisa Touchとは互換性がないものでした。

最終的に、Visa Touchは2013年の新規加入受付を終了し、2014年にはモバイル型サービスも終了しました。2015年には、これらのサービスはほとんどが終了し、一部の発行会社によるカードのみが存続していましたが、いずれも有効期限の満了をもってサービスが終わることとなりました。

まとめ

Visa Touchは、日本国内で特化した非接触決済サービスとして一定の役割を果たしましたが、国際的な競争力には欠けていたことが最終的なサービス終了の要因と言えます。また、加盟店数の拡充やカード会社の参入が進まなかったことも影響した珍しいケースの一つです。

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